「がん封じ」のお薬師さまとして信仰を集める因幡堂 平等寺(以下、因幡堂)は、平安京以来、京都市民から親しまれてきたお寺です。病気平癒や女性の願いごと成就で知られ、特に、動物モチーフのかわいいお守りが話題です。因幡堂では、大病に悩む人々が仏様にすがり心の支えを得る場として、多くの人々が足を運びます。
因幡堂 平等寺とは
平安時代にさかのぼる因幡堂 平等寺の創建は、997年(長徳3年)に橘行平が因幡の国(現在の鳥取県)で夢のお告げを受け、海から薬師如来を引き上げ祀ったことが始まりと伝えられます。現在も本尊として祀られる薬師如来立像は、日本三如来の一つで重要文化財に指定されており、平安時代から続く多くの人々の信仰を集めています。
因幡堂が特に有名なのは「がん封じ」の仏様としてのご利益です。がんが不治の病とされていた時代、最後に因幡薬師に頼った多くの方がいたことから、今日まで「がん封じ」の薬師如来として信仰されています。また、子授けや安産、無病息災の祈願も多く、全国から参拝者が絶えません。
さらに、因幡堂は町衆のお寺として、歴史的に芸能と深い関わりがあり、浄瑠璃や狂言の舞台にもなっています。江戸時代には「因幡堂芝居」として歌舞伎も上演されるなど、京都文化の発信地としても知られていました。
見どころ
病を癒やす「薬師如来立像」と信仰の歴史
因幡堂のご本尊である薬師如来立像は、長野・善光寺の阿弥陀如来、京都・嵯峨清涼寺の釈迦如来と並び日本三如来の一つです。長い年月を経ても火災を逃れ、今も堂内に安置されています。薬師如来の正式な名は「薬師瑠璃光如来」といい、瑠璃の薬の光で病を癒す仏様とされています。平安時代からの御詠歌には「病めるときには、無心に因幡堂に祈れば、瑠璃の薬が与えられる」と謳われ、京都の人々の心の支えとなってきました。
動物モチーフのお守りと癒しの看板猫
因幡堂の特徴的な魅力は、愛らしい動物モチーフのお守りです。「インコのお守り」は幸福が入る(IN+こうふく)をもじり、セキセイインコから大型のルリコンゴウインコまで幅広い種類があります。また、「無病息災守(六猫守)」には6匹の猫がデザインされ、「無病息災」を祈るためのアイテムとして多くの愛猫家に人気です。犬のお守りは関西の方言「いぬ(立ち去る)」にちなんで、病が去ることを祈願したものです。
因幡堂には「チョビ」と「ゴマ」という2匹の保護猫も住んでおり、訪れる人々に癒しを与えています。お寺では動物保護活動も行っており、こうした動物守りを購入することで保護活動を支えることができます。
狂言や浄瑠璃にも描かれる歴史的な舞台
因幡堂は、狂言「因幡堂」「鬼瓦」の舞台としても知られており、特に大蔵流狂言とは深い関係があります。また、江戸時代には「因幡堂芝居」として歌舞伎が興行されていた時期もあり、京都の町衆の間で人気を博していました。このように因幡堂は、宗教的な信仰の場でありながらも芸能とも関わり、京都の文化を支えてきた歴史があります。
アクセス情報
因幡堂は京都市の中心部、地下鉄烏丸線「四条駅」から徒歩約4分という便利な場所にあります。最寄りのバス停「烏丸松原」からも徒歩3分程度で、アクセスは非常に良好です。周辺にはコインパーキングも複数あり、車で訪れる方も安心して利用できます。
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